アルソウムの双剣 The Swords of Arthoum

近世ヨーロッパに似た、どこかの異世界。

かつて東の果て、ウジュホロドと呼ばれる地に住んでいたアルソウム族は長い干ばつに苦しんでいた。同胞を救うため新天地を探して旅立った六人のアルソウム族の若者は、長い旅の果てに豊かな森林と水に恵まれた土地を見つけてウジュホロドに戻り、アルソウム族の半分を連れてこの地に移住した。

伝説の「六祖西征」である。

それから一〇〇〇年の時が流れた。

六人の若者の名を戴いた六つの領邦「アルソウムの六冠の地」は人口二〇〇〇万人を誇る大国・アルソウム連合王国となり、平和と繁栄を謳歌していた。だが、その平和と繁栄の陰には戦場で斃れる無名の兵士たちの姿もあった。

帝国歴一五五〇年、八月。

将来を嘱望されたチェレク連隊第八歩兵中隊長イェビ=ジェミは、親友でもあった部下スピルキの戦死をきっかけに連隊を離れて、あてどのない旅に出る。その両の腰には、不思議な紋様が浮かび上がった灰色の刀身を持つ、出所不明の二本の剣があった。

剣士イェビ=ジェミと不思議な二本の剣の旅路は、いつしかアルソウム連合王国の隠された過去を浮かび上がらせ、連合王国の歴史そのものを変えてゆく。

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